2012年8月19日日曜日

【第二夜】無敵の二拍子!阿波踊り体験記 -上層部の支配からの、卒業-


祭り2日目の朝。

タコ部屋で、誰ともわからない目覚まし時計の音と
屈強な男たちのイビキで目が覚める。最悪の朝だ。

昨晩クラブに行ってた阿部と三浦も

「徳島ギャルに飲み逃げされた」

とボヤきながら3時過ぎに帰ってきていたようで、
当たり前のように初日の戦果は何もなかった。タコ部屋だもの。


阿波踊り期間中の昼間は、実はあまりやることがない。

真面目な連は練習などをしていると思うのだけど、東大連の面々は
観光をしたり、(上層部が)女子学生とともに海に行ったり、思い思いに過ごすらしい。


何もしないのもアレなので、タコ部屋で出会った黒須くんの
お薦めに従い、かづら橋という観光スポットに行く事に。
しかし、東京から乗ってきた車は普通の乗用車である。

「悪いな、この車は5人乗りなんだ!」

と言わんばかりのスネオスキームで
まだ寝続けていた三浦を断腸の思いで置きざりにして徳島観光へGO!




観光地のかづら橋は正直たんなる橋で別に見るべきものがなかったのですが、
行き帰りの車内で初対面の黒須くんから


・中ニ病をこじらせて25歳まで素人童貞だった。
・一念発起して恋愛マニュアル本を買い、内容をそのまま忠実に実行したら彼女ができた
・お礼のメールをその著者に送ったところ即レスがあり、
 その著者から今も直々に恋愛コンサルティングを受けている


という想像の右斜め上を行くお話を伺う。
なんでこんな濃いメンバーばっか集まってんだよ、ここには。。


なお、置き去りにした三浦からはちょうど
観光地に着いたあたりで着信があり、阿部さんが

苦渋の決断だった

とか意味不明な言い訳をするも、
当たり前のようにマジギレされました。
みんな、友達は知らない土地で置いていっちゃダメだぞっ!


特に得るもののない観光からタコ部屋に戻った一行。
昨日クラブに現調(現場調査)に入った阿部と三浦の情報を元に
阿波んチュールに向けてここまでの状況を整理し、マーケティング分析を試みる。


【マーケット条件】

1.
幹部やスポンサーなどの東大連の中心メンバー、所謂「上層部」たちは
圧倒的な影響力を持っており、彼らの周りには常に女子の姿がある。
特に学生や常連の社会人たちは、ほぼ全員上層部の息がかかっていると言って良い。

2.
加えて、状況の逆転を困難にするインフラ格差(個室VSタコ部屋)まで準備されており、
このままでは我々は周到に仕組まれた封建体制のレームダックである

【今後のストラテジー】

■ゆえに、学生や東大連常連女子たちは非常に競争率の高い
 レッド・オーシャンであり、上層部と正面から事を構えるのも得策ではない

■狙うべきは東大連のフレームの外にあるレイヤー、つまり徳島ギャルである。
 または、上層部の影響下にまだ組み込まれていない初参加の社会人層が望ましい。

■さらに、我々が放り込まれているタコ部屋という環境を鑑み、
 近くに自分の家 or 個室の部屋を持っているセグメントがトップ・プライオリティである。


こいつら、ここにかけている情熱と時間を10%でも
阿波踊りに向けたら相当上達したんじゃないかと思う

そうこうしているうちに日没を迎え、
合戦の2日目が幕を開けようとしていた…。


--


さあ、踊るぞぉ!

阿波踊りが二の次なタコベヤーズたちを尻目に
オトキタは案外と真面目に踊る気満々なのである。
よさこい、モダン、ストリートと流れ、ニコニコダンスマスターに出演した経歴は伊達ではない。


しかし、この日はあいにくの大雨。。


















徳島県人をして「こんな豪雨は10年振りくらい!」と言わしめた荒天で、
なんとか雨が弱くなる合間を見て踊る→雨宿りを繰り替えすことに。
写真も全く取れず、スマホが浸水して壊れる人続出。

そしてこの雨が、新たなる悪意と悲劇の物語の引き金となる。


雨宿りの時間は、東大連が貸しきっているクラブに入って飲んでいたのだが、
ここで上層部の監視が緩んだのだ(雨の運営が大変だったのでしょう…)。

いつも飲みの中心にいる上層部がいない!
俺様が目立つチャンス到来だ!

…と思ったのかどうだか知りませんけど、
飲みの輪の中心に飛び出していく、見慣れた方の姿が。。

大人気なく学生からテキーラの瓶を奪い取り、一気に飲み干す。
「箱庭の自由」を手に入れた彼の姿はそう、まるで
三蔵法師の手の中にいた孫悟空だったのかもしれない。























阿部司、死亡(享年30歳)


雨も上がり祭ばやしが鳴り響く街中で
あしたのジョーのように真っ白な灰になる阿部。
まったく知らない人や外国人観光客にまで写真を撮られる始末。

そして時おりリズムに合わせてブリキ人形のように動き出し、
敢え無くあれほど対抗意識を燃やしていた上層部の人間に保護され、
タコ部屋へと強制送還されていった。


一方その頃、「徳島在住、初参加の社会人」という
マーケティング戦略に忠実なターゲットをロックオンした古道えいたつが、
「他の連の踊りを見に行こう!」と言って女子と二人で闇に消えていく。


また一方、雨の影響で踊り足りなかったオトキタと栗山は
しばらくクラブで踊り呆けていたのだが、大部屋に戻って部屋飲みすることに。
まりこパイセン(可愛い)から「また部屋でみんなで飲もうよ!」と誘われたからである。

しかし今思えば、これは何かの虫の知らせだったのかもしれない。

部屋に帰ると阿部が、お稲荷さん的なサムシングを盛大にはみ出しながら
大の字になって朽ち果てている。それを汚物を見るような目で眺めるまりこさん。


















とりあえずバスタオルを被せて応急処置。
そのまま放っておこうかとも思ったが、

「雨で濡れたし、風邪ひいちゃうかもよー」

と心配するあつしパイセン。
あまりのナイスガイっぷりである。

しょうがない、パンツくらい着替えさせてやるか…
と思い布団に足を踏み入れたオトキタは、重大な事実に直面した。





雨以外の何かで濡れておる。



下半身を中心に描かれる情熱大陸。
徳島の布団って、世界地図になる機能が付いてるんだっけかね。。
(流石に掲載NGの世界地図の写真が見たい人は、オトキタさんのiphoneで!)

動揺を隠しつつ、とりあえず掛け布団を放りかけて放置。
せめてのもの武士の情け、女子がいる場でこの事実は公開できまい…


タコ部屋紅一点のまりこパイセンを中心に楽しく談笑する一同。
そうこうするうちに、今日も安定して討ち死にしたタコベヤーズの面々が帰ってくる。

だが、タコベヤーズが失禁者1名という尊い犠牲を払う一方で、

「エッチ好きなの?」
「大好きです!!」

という会話に成功したという古道えいたつがタコ部屋を卒業し、帰らぬ人となった。
なんだそれ。


午前3時。

「あー眠い、さすがにもう寝るね!」

と言ってタコ部屋を後にするまりこパイセン。
一輪の花が去り、失意に沈むタコ部屋ご一行。
さて、彼に(憂さ晴らしに)事実を告げるときが来た…!


「阿部さんっ!」
「氏ね!いや起きろ!」


気持ちよさそうに寝る死体を揺り起こす。

ぐずりながら立ち上がり、状況を認識する阿部。
タコ部屋中の、24くらいの瞳が彼の一身に集まっている。

衆目を集める中、パンツを一瞥した後
彼は一言、含蓄のある口調でこう言った。





「…テキーラをあれだけ飲めば、おねしょくらいするだろう!」


タコ部屋全員「しねーよ!!!





なんという開き直り。
なんという突っ込み側の一体感。

その他にも

「これは上層部への抵抗だ。一矢報いた」
「iPhoneがない。メガネもなくした」

などと騒ぎ続ける阿部。
そんな彼に、僕は友人として


「それは一矢報いたんじゃなくて、迷惑をかけたんだよ」
「なくしたのはモノじゃなくて、人間としての尊厳だよ」


と優しく諭し、眠りについた。


【ここまでのタコベヤーズの戦績】

1勝20敗くらい

【今日のポイント】

・マーケティング戦略とその実践はマジで重要
・大人になったらおねしょしちゃダメ


(続く。)

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...